下り向きで道を開設していたとき、谷に生えていたスギの抜根(切り株を抜く作業)に苦労しました。
↓こいつ
直径45cmくらいのスギで、地中深くまで根を張っていました。
いろいろ四苦八苦した結果、振り向いて上り向き(または水平)になってから抜根するとようやく抜けました。
そうした理由は、下り向きだと抜根作業がむずかしいからです。
なぜむずかしいかの理由と、抜根するためにやった手順について簡単に書きます。
下り向きでの抜根がむずかしい理由
理由は3つです。
①バケットが届かない
下り向きで抜根しようとすると、バックホーは切り株より高い位置にいます。
なので場所によっては掘りたい位置までバケットがうまく届きません。
②バックホーのバランスが悪い
下り向きだとバックホーの機体は常に前のめりになっています。
作業装置(ブーム、アーム、バケット)も前にあるので重心もさらに前側になります。
つまりバランスが悪いので、慎重な操作が必要。
シートに座っている操縦者も気持ちのいい体制ではないので、単純にストレスです。
③力を加えにくい
バックホーのバランスが悪いのに加えて、バケットで掘ろうとすると、そこが支点(力点かな?)になって前に引っ張られます。
上り向きだとバックホーの自重を利用して力を加えていけますが、下り向きでこれをやると機体がズルズル前にずべっていきます。
場合によっては大きくバランスを崩しかねません。
振り向いてから抜根すればいい
この問題を解決するのは単純で、いったん通りすぎて反対に振り向いてから抜根すること。
バックホーを上り向き、または水平の状態にします。
以下、今回やった手順。
①下り向きで掘れるとこまで掘り起こす。掘った土をつかって、谷側に道をつくっていく。
↓掘り起こした片側はいったん埋めて道にして、切り株の脇を進んでいく。次にある切り株を抜根し、5mくらい進んでおく(土の処理のため)。
↓振り向いて最初の切り株を抜根する。
↓抜根して開通したあと。
書いてみると単純ですが、やりながら試行錯誤して結果こうなりました。
(山側全体が岩質なので、そもそも谷に下りるのに苦労したので)
「バックホーのバランスをどう保つか」を常に考える
基本的に考えるのはバックホーのバランスを保つことだと思います。
しっかりと安定を保っていれば作業能力(=力)を発揮できます。
抜根作業の場合、かんたんに抜けそうな小さめの木なら、正面から挑めばいいだけ。
けれど大径木や広葉樹はただでさえ抜根がたいへんなので、下り向きだとさらに条件が悪い。
「バックホーのバランスを保ちながら力を発揮できる条件をどうつくるか」を考えるのは、山での道づくりの面白さの1つだと思います。
スポーツに似てますね(苦手だけど)。
おしまい。