間伐作業なんかで伐倒するとき、木を引っ張る道具を使ったりします。
有名なのは「チルホール」というものですが、もっと軽くて小さくて扱いやすいもの、それが「プラロック」。
手軽に持ち運べるハンドウインチ(ロープ巻き取り機)です。人力ではとうてい動かない木でも、プラロックを使ってグイグイ引っ張ることができます。
そんな便利なプラロックについて説明します。
プラロックの使い方
プラロックの簡単な使い方です。
スリングで木に固定する
本体にフックがついているので、そこをスリングにかけて木に固定します。
木にロープをセットする
引っ張る木にロープの片側をもやい結びなどでセットします。
プラロックに付属のロープは10mなので、ロープが足りない場合、引っ張る角度が悪い場合には、別の手持ちのロープをジョイントさせます。
(もちろん伐倒方向から直で引っ張るのは危険なので、角度をずらして斜めに引くか、滑車をつかって別方向から引きます)
レバーを引いてロープを送り出す
本体のレバーを引くことで一方のロープが送り出され、これを繰り返してロープにテンションをかけ木を引っ張っていきます。
途中でロープのテンションを抜く方法
↑ドラムの逆回転のストッパーがあります(黄印)。
↑そこにレバーのツメをフリー状態にして、ストッパーにあてて押し込みます。すると1目盛づつ逆回転できます。
これをガチャガチャ繰り返すことで、ロープのテンションを抜くことができます。
(あまりにテンションをかけすぎた場合、押し込むのがめちゃくちゃ大変です。ほどほどに)
プラロックの種類と能力
プラロックには大小2種類あります。
プラロック:MPR-1000
- ロープ径:φ10mm
- ロープ長:10m(付属のロープ)
- 引張能力:1.96kN(200kgf)
- ロープ破断荷重:20.6kN(2,100kgf)
- 重 さ:1.8kg
山で持ち運ぶならこちらが軽くて良いです。ボクもこちらのサイズをつかっています。
プラロック:MPR-2000
- ロープ径:φ14mm
- ロープ長:10m(付属のロープ)
- 引張能力:3.43kN(350kgf)
- ロープ破断荷重:38.6kN(3,940kgf)
- 重 さ:2.9kg
MPR-1000よりパワーはありますが、山で持ち運ぶにはデカすぎて重すぎます。付属のロープがかなり固めなので、正直扱いにくいです。
ただ、大きな木を牽引しながら慎重に重心移動させたい場合などは、小さいほうより活躍すると思います。
プラロックの能力
名前に「1000」と「2000」とあるとおり、1tまで or 2tまで 引ける能力があるようですが、メーカー的には連続荷重作業はその1/6以下でつかうのを推奨しているみたいです。
プラロックの良いところ
プラロックを間伐なんかで使ってみて、めちゃくちゃ便利だなと思いました。良いところをあげてみます。
人力では引っ張れないかかり木を倒せる
たとえばヒノキを伐倒するとき、ほとんどの場合で樹冠がほかの木に引っかかります。
クサビや人力のロープ牽引では倒れないこともかない多い。そんな場合でもきちんとスペースを狙ってプラロックでグイグイ引けば、周囲の木々の枝を抜けることができます。
(もちろん強固に木に引っかかっている場合は、どんなに引っ張っても倒れません。無理するとプラロックが壊れます)
手軽に持ち運べるサイズ
チルホールなんかとくらべると能力は劣りますが、重さは1.8kg(MPR-1000のほう)なので圧倒的に軽いです。
30Lくらいのバックパックであればほかの道具と一緒にしまえます。
手軽に持ち運べるサイズなので、たとえば間伐でも十分使えます(大きいサイズはきびしいですが)。
しっかりしたつくり
ホームセンターなんかでプラロックと似たようなハンドウインチが3,000円くらいで売られていますが、プラロックとくらべるとものすごく安っぽくてチープです。
かなりの力を加える道具なので、つくりのしっかりとしたプラロックは使っていて安心感があります。
プラロックのメーカー名はマーベル社となっていますが、実際につくっているのはマーベル社の製造部門である「ミノル工業」という会社。老舗の電設工具メーカーです。
けっして安い商品ではありませんが、伐倒で使うなら、てきとうな安物よりはプラロックを使うべきだとボクは思います。
以上、プラロックについてでした。伐倒にはほんとうに便利な道具です。
おしまい!