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【伐倒】大径木の起こし木に有効な「追い回し切り」の手順

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こんにちは、がっちょです。

伐倒の際、追い口の入れ方の違いによって「追い切り(追い口切り)」や「追いヅル切り」とか呼んだりします。追い口の切り離し方のパターンがいくつかあるためです。

この記事では追い口切りのやや変形である「追い回し切り」について説明します。状況によってはとても有効な切り方です。

(「追い回し切り」という名称は僕や林業仲間がそう呼んでいるだけで、決まった名前ではありません)

大径木の起こし木に有効な「追い回し切り」の手順

僕の場合、「追い回し切り」は大径木の起こし木(重心とは違う方向に倒すこと)の伐倒に使います。

ここでいう大径木は太さ何cmから〜というより、単純にチェーンソーのガイドバーがまったく貫通できない太さの木です。

以下、追い回し切りの手順です。

パターン1:片側の前ヅルを突っ込み切りでつくる場合

最初に追いヅル切りと同じように、突っ込み切りで片側の前ヅルを決めます。

次にチェーンソーを後方に、先端を中心に文字通り「回し」ながら追い口を切り進めます。このとき前ヅルを切らないよう注意が必要です。

半分程度切り進めたら、追い口の片側にクサビを打ち込みます。

さらに回しながら反対側を切り進めて、クサビを打つスペースができたらもう片側に打ち込みます。

最後にもう片側の前ヅルを最後まで切り進め、あとはクサビを打ち進めて倒します。

これが追い回し切り。

逆側から切り始める場合も要領は同じですが、ガイドバーの背(上側)で回して切り進むのは少し切りづらいです。

パターン2:最初の突っ込み切りができない場合

傾斜地で大径木を切る場合、谷側に立つと追い口を入れる位置が高すぎて、突っ込み切りができない場合もあります。

では最初の切り込みをどうやるかですが、難易度が上がります。

前ヅルの終点に対してガイドバー先端を直角に当てて、前ヅルに対して平行に切り進みます。

このとき、前ヅルの残す幅はフリーハンド(感覚頼み)になります。なんとなくやると前ヅルを深く切りすぎるか、分厚く残しすぎることが多々あります。

少しでも精度を上げる方法として、受け口会合線に平行なものを目印として置き、それを見ながらチェーンソーの角度と深さを確認します。

平行に切り進む距離としては、逆側からチェーンソーを入れたときに、切り残しが出来ない程度まで。ここを切る距離が長いほど前ヅル幅の誤差ができやすいので、最低限にします。

あとはパターン1と同様にチェーンソーを回してクサビを入れます。

上記(パターン2)の方法で切った場合。ツルを左右均一にするのはすごく難しい。

追い回し切りは大径木の起こし木に有効

追い回し切りのメリットは、クサビを使った大径木の起こし木に有効なことです。

簡単に説明するために「追いヅル切り」と比べてみます。

追いヅル切りのデメリットは「クサビを使いにくい」こと

追いヅル切りは追い口を2段階で切り離すため、後ろヅルを残します。後ろヅルを最後に切り離すまで倒れないため安全な切り方です。

けれど後ろヅルがあるため、最初にクサビを入れる位置や数、最初に打ち込める深さに制限があります。

起こし木のときに、重心を見誤ったり、後ろヅルの位置が悪かったり、クサビの打ち込みが浅かったりすると、後ろヅルを切り離した瞬間に追い口が強烈に閉じてしまって、

  • ガイドバーが挟まれる
  • 差したクサビがまったく打ち込めない
  • 追加のクサビも打ち込めない

なんてことになりかねません。

加えて大径木になると、突っ込み切りが貫通できないため、追い口の高さを左右一直線に揃えるのも難しくなります。左右で高さが揃わないと、場合によってはクサビの入っていくスペースの障害になります。

↓追いヅル切りでの左右の段差、まだマシなほう

なので追いヅル切りは、クサビを使った大径木の起こし木には向いていないと思います。

※下記の状況なら追いヅル切りでも問題なしです

  • ロープ牽引などクサビ以外で倒す場合
  • 重心方向に倒す場合(むしろ追いヅル切りが最適)

追い回し切りはクサビを最大限使える

追い回し切りはクサビを最大限使えます。

最初にクサビを打ち込んでから、切り進めながら深く打ち込んでいけます。数もたくさん打てるスペースがあるし、追い口は一直線に繋がっているので最後まで打ち込めます。

起こし木なので意図せず途中で倒れ始めることもまずありません。片側の前ヅルは途中までとても分厚く残っているので、木の傾きとクサビとの具合を確認しながら、前ヅルを仕上げていけます。

「大径木、起こし木、クサビ」という条件ではとても有効な切り方です。

まとめ:1つの切り方にこだわらない方がいい

伐倒の切り方を比較してわかるのは、それぞれ一長一短があるということです。

追いヅル切りはとても安全な切り方だと思っていましたが、不向きな場合もあると経験してみて理解できました。

なので1つの切り方にこだわらず、いくつかの切り方を身につけて、状況に応じて使い分けるのがいいと思います。できたほうがなんか格好いいし。

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