こんにちは、がっちょです。
林業に限らずチェーンソーで木を切る業務を行うには、労働安全衛生規則にもとづく特別教育を修了しないといけません。
このチェーンソー特別教育、内容が改正され、2020年2月より公布、2020年8月より施行されます。
そのため2020年8月以降は新たな特別教育を修了していなければダメになりました。
改正前に特別教育を修了している人は補講を受ける必要があります。
補講の内容と、改正後に守らないとダメなことについて、かんたんにまとめます。
改正前に特別教育を修了している人は、補講が必要
特別教育をすでに修了しているひとは、補講が必要になります。
(詳細は厚生労働省のウェブサイトで公開されています)
改正前のチェーンソー特別教育には「8号」「8号-2」の2種類あり、それぞれで補講内容と時間が変わります。
※自分がどちらを修了しているかは、特別教育の修了証に明記されているので要確認です↓
「36条8号(大径木伐採等)」を修了している場合
改正前の安衛則36条8号(大径木伐採等)を修了している場合、補講は2.5時間です。
- 1時間:造材の方法、下肢の切創防止用保護衣等の着用(学科)
- 1時間:安衛法、安衛令及び安衛則中の関係条項(学科)
- 30分:下肢の切創防止用保護衣等の着用(実技)
実技は要するに、チャップスなど足回りの「防護衣」の着用方法です。
「36条8号-2 (小径木伐採等)」を修了している場合
改正前の安衛則36条8号-2(小径木伐採等)を修了している場合、補講は5時間です。
- 2時間:伐倒の方法、かかり木の種類及びその処理造材の方法、造材の方法下肢の切創防止用保護衣等の着用(学科)
- 1時間:安衛法、安衛令及び安衛則中の関係条項(学科)
- 2時間:伐木の方法、かかり木の処理の方法、下肢の切創防止用保護衣等の着用(実技)
こちらは防護衣にくわえて「かかり木処理」が学科と実技であります。
補講はどこで受けられる?
補講を受講するには、まず自分が特別教育を修了した機関に問い合わせてみるのがいちばんいいと思います。
建機メーカーの教習所でも、改正後の特別教育について案内されているので、受講できるはず。
(ちなみに改正後は前述の2種類の特別教育が1つに統合された形になり、あらたに受講する人は1種類だけになります)
改正後に、守らないとダメなこと
改正後に守るべき追加ポイントは、おもに4つです。
(「労働安全衛生規則 8章 伐木作業等における危険の防止」で全文が読めます)
胸高直径20cm以上の木は、受け口と追い口をつくって倒す
胸高直径20cm以上の木は、受け口をつくって、追い口を入れて、ツルを効かせて倒しなさい、いわゆる斜め切りはダメ、ということ。
これが必須なのは改正前は胸高直径40cm以上の木とされていました。
個人的な感覚として、そもそも胸高直径20cm以上の木を受け口追い口なしで切り倒すのはめちゃくちゃ怖いです。やれと言われてもやりたくありません。
この改正はもっともだなと思いました。
かかり木処理の禁止事項
改正前の伐木の安衛則には「かかり木」についての条項がなく、このたび追加されています。
かかり木は放置せずすみやかに処理することとし、禁止のかかり木処理方法が明記さています。
禁止事項は下記の2つ。
- 浴びせ倒し
- かかられている木を切り倒す
元玉切りは禁止ではありません。
立ち入り禁止区域の設定
改正前は「伐木作業している下方に立ち入ってはダメ」というざっくりしたものでしたが、内容と範囲が明記されました。
- 伐倒中は樹高の2倍の半径内は作業者以外立ち入り禁止
- かかり木がある下方は立ち入り禁止
足回りの防護衣の着用
チェーンソーを扱っている中で足回りの接触事故が非常に多いため、足回りの防護衣を着用することが義務化されました。
これも改正前はなかった条項です。今後はチャップスやチェーンソーパンツの着用が必須になります。
まとめ:改正内容は作業者の安全性を高めるもの
改正された内容はどれも作業者の安全性を高めるもので、個人的には当然のことだと感じました。
全産業の中で林業はもっとも危険、かつ伐木作業中の事故がもっとも多いと以前から繰り返し耳にするので、この改正で良い方向に向かってほしいと思います。
以上、おわりです。