スウェーデントーチは丸太を使った焚き火の道具です。
その気になれば、はっきりいって誰でも作れます。
この記事ではスウェーデントーチの作り方を、僕の経験にもとづいて可能な限り解説します。
スウェーデントーチの作り方
スウェーデントーチの作り方の手順は3つです。
- 加工する丸太を調達する
- チェーンソーでスウェーデントーチに加工する
- 自然乾燥させる
めっちゃ単純なので、本気出せばだれでもできます!
※ちなみに角材でつくる方法も別記事で紹介しています。
どんな丸太を調達すればいい?
スウェーデントーチを作るには素材となる丸太が必要です。
どんな丸太が良いか、僕なりの経験で解説していきます。
欲しい丸太のサイズ
- 太さ:だいたい15〜25cm
- 高さ:だいたい30cm〜40cm
もっと小さくても大きくても作れますが、このくらいのサイズが手頃です。
太さが30cm近くになってくるとかなり重たくて、乾燥していない生木の場合は乾燥させるのに時間がかかります。なので大きすぎるのも考えもの。
欲しい丸太の樹種
僕のオススメは「ヒノキ」です。
どこでも手に入りやすく、乾燥が必要な場合も早めに乾きます。ほかの木としては、
- 針葉樹:スギ、マツ
- 広葉樹:ナラ、クヌギ、カシ、サクラ
なんかがあります。スウェーデントーチとして販売されているものはスギ、ヒノキ、ナラが多い印象です。自作するなら手に入りやすいものでいいかなと思います。
樹種による特徴としては
- 針葉樹:乾くと軽くて火力が強いぶん、燃焼時間が短い。乾燥は早め(スギは乾きにくい場合あり)。
- 広葉樹:乾いても重くて、針葉樹とくらべて燃焼時間が長くゆっくり燃える。乾燥に時間がかかる。
入手のしやすさや乾燥の早さを考えると、とりあえず作ってみたいなら針葉樹がいいと思います。
欲しい丸太の乾燥具合
切り倒したばかりの木は水をたくさん含んでいます。
その状態から加工してトーチが上手く燃えてくれるには、数ヶ月〜1年以上の自然乾燥させる期間が必要です。
しっかり乾燥した丸太を調達できるかは運次第。なので自分で自然乾燥させる前提で考えておいてください。
丸太を調達する方法
丸太を調達するには3つあります。
- 買う
- もらう
- 立っている木を自分で切る
丸太の状態で販売されているのってあまり見かけませんが、あるところにはあります。
「立っている木を自分で切る」のは難易度が高すぎるので、「買う」か「もらう」かで解説します。
トーチサイズの丸太の値段は、条件により超バラバラ
そもそもの話ですが、スウェーデントーチ1個に使うくらいのサイズであれば、丸太の値段は正直「あるけどない」ようなものです。
木材として市場で売買される丸太の値段が、そもそも安いからです。
ただ、原価として考えると
- 木を育てる仕事
- 木を切り倒す仕事
- 木を運び出す仕事
- そのほか加工したり販売する仕事
なんかのコストは必ずあるので、丸太の値段は
- 地域
- 樹種や品質、サイズ
- 用途やタイミング
なんかの条件でほんとうにバラバラです。
なので、条件によっては「買う」こともできるし「もらう」こともできます。
調達方法① ネットで探す
ネットを検索すると、トーチに手頃なサイズの丸太が販売されています。
- アマゾン
- 楽天
- メルカリ
- ヤフオク
- ジモティ
など。商品として綺麗に磨かれている丸太はしっかり乾燥していそうですが、ちょっと高くてもったいないです。
メルカリやヤフオク、ジモティだと生木の状態で安価な丸太があったりします。
それぞれのサイトで「丸太」なんかのキーワードで検索してみましょう。
調達方法② 近隣で木材加工している人や会社に聞いてみる
木材を加工している会社が近くにあれば、丸太の端材がないか聞いてみましょう。
- 木工所
- 製材所
- 薪屋さん、薪ストーブ屋さん
- 木工作家さん
- 大工さん
など。廃材の丸太など、乾燥しているものが手に入るかもしれません。
調達方法③ 近隣の原木市場に聞いてみる
林業が行われている地域には、丸太が売買されている「原木市場(げんぼくいちば)」があります。
丸太が大量に集まるこの市場では、丸太の端材なんかもたくさんあります(バイオマス燃料なんかになります)。
基本的には木材業者しか出入りしていませんが、一般の人も買えないことはありません。端材なんかは扱いが曖昧だったりするので、交渉次第で買うことができたりします。
僕も過去に原木市場で調達したことがあるので、近隣に原木市場がある場合、ためしに聞いてみるのがオススメです。
調達方法④ 木を切る仕事をしている人や会社に聞いてみる
木を切る仕事をしている人は、丸太をいちばん調達しやすいです。
- 林業をやってる会社や人(きこり)、森林組合
- 造園屋さん、庭師さん
- 農家さん
など。
僕が山で木を切っている経験上、木材として利用できない部分を切り捨てる場合はけっこうあります。そういったものでもトーチは十分つくれます。
造園屋や庭師さんも大きめの木を切る機会があると思います。そういった木は売られることもあれば、処分されたり行き場がなく保管されることもあるので、聞いてみる価値ありです。
農家さんでも、持っている山の木を切る人はたくさんいます。
調達方法⑤ 近隣のホームセンターや「道の駅」「木の駅」で探してみる
地域によっては
- ホームセンター
- 道の駅
- 木の駅
なんかで丸太を売っていることもあります。
木の駅とは「地域住民主体の原木市場」みたいなところです。
僕の地域の近所だとたとえばこんなところがあります↓
調達方法⑥ 木を切るイベントに参加してみる
自分で木を切り倒すことはできなくても、木を切るイベントには参加できます。
たとえば森林ボランティアで間伐体験をやっているところもあったりします(間伐は木を間引く作業のことです)。
間伐体験で切るような小さめの木は、山に切り捨てる場合が多いので、小切って持ち帰らせてもらえる場合もあります。
そういったイベントが近くでやってないか、探して問い合わせてみましょう。
「チェーンソーの特別教育」講習でも可能性はあります。
丸太を加工する方法
丸太が調達できたら、スウェーデントーチに加工していきます。
スウェーデントーチにはチェーンソーで切れ目を入れたり、ドリルで穴あけしたりと加工方法がいくつかあります。
目的は同じで、空気の通り道をつくって燃えやすくするためです。
今回はシンプルに切れ込みを入れるだけのバージョンで解説します。
チェーンソーはできるだけパワーのあるものを使う
丸太に切れ目を入れるには「縦引き」と呼ばれる方向にチェーンソーで切っていきます。
細かい話は省略しますが、チェーンソーはこの縦引きが苦手です。
縦引きするとかなり抵抗が大きいので、チェーンソーはできるだけパワーのある(排気量の大きい)ものを使ってください。
「試しに1個だけつくってみる」くらいなら30ccクラスでもいいと思いますが、下記の場合は50〜60cc以上はあったほうがいいです。
- あとあと何個も作る場合
- 加工するのが広葉樹の場合(針葉樹より繊維が固い)
もちろん目立て(刃を切れる状態に研ぐこと)は最低条件なので、しっかりやっておいてください。
とりあえずやってみて、「あまりにも切れない」とか「チェーンソーの音に違和感がある」ような場合は切るのを中止してください。無理して続けるとチェーンソーがマジで壊れます。
あとは丸太が乾燥している場合はさらに抵抗が大きくなります。慎重に切り進んでください。
とにかく抵抗の大きい切り方をするので、最悪ぶっ壊れてもいいような自分のチェーンソーでやったほうがいいです。
加工① 丸太の皮むきは、してもしなくてもOK
木の周囲には樹皮がついています。皮むきは、しなくても問題ありません。
広葉樹の皮は固いので無理して向かなくてOKです。
しいて言えば針葉樹の場合、
- 乾燥してくると皮がボロボロはがれてくる
- 虫食いが発生しやすい
ので、それが気になるなら事前にむいておきましょう。スギとヒノキならナタ1本あれば皮むきできます。(僕の経験談として、虫食いは皮むきしても完璧には防げません)。
下記の記事を参考にしてください。
加工② 丸太を必要な長さに切る
丸太が長い場合、30〜40cmくらいでチェーンソーでカットします。
この方向に切るのは「横引き」といって、チェーンソーが得意な方向です。
トーチになる底面が凸凹していると安定しないので、できるだけ断面はまっすぐ切ってください。
加工③ キレイに等分するには補助線を引く
今回は直径20cmの皮をむいたヒノキです。これを6等分にカットしていきます。
キレイに等分したい場合はチョークと定規で補助線を引いておけば上手くできます。
切れ込みの数は4等分、6等分、8等分など自由ですが、切れ込みを増やすほど
- 火力が強くなる反面、燃え尽きるのも早まる
- 自然乾燥しやすくなる
- 切る量が増えるので大変
です。もうすこし細いサイズなら4等分でいいかなと思います。
加工④ 「チェーンソーの自重」と「チェーンソーのスパイク」を使って縦引きしていく
ここから補助線に沿って、チェーンソーで「縦引き」方向に切り込んでいきます。
先ほどの「横引き」より非常に抵抗が大きいので、できるだけ排気量の大きいチェーンソーを使って無理なく切り込すすめてください。
最初に切り込んでいくときが一番丸太が不安定です。チェーン回転で丸太が自分のほうに引っ張られます。
なのでポイントとして
- 切り始めはチェーンソーの根元側で、丸太の手前側から切り込んでいく。
- 切り始めのアクセルはゆっくりふかしながら徐々に回転を上げていく。
- 根元のスパイクを支点として、ゆっくり切り下ろしていく。
- 無理な力で押さえつけず、手でかるく補助するだけ。チェーンソーの切削スピードと自重に任せる。
こんな感じの切り方をすれば、乾燥していて軽い丸太でも安定して切り込んでいけます。
加工⑤ 10cmくらい残して切り終える
最後は10cmくらい残して切り終えます。あまり切りすぎると丸太が割れやすくなります。
縦にまっすぐ切るのは案外むずかしくて、最後は切り曲がりしやすいです。
コツとしてはフロントハンドルをしっかり左側に引いてチェーンソーを保持していればまっすぐ切れますが、切り曲がってもあまり気にしなくていいです。
加工⑥ ほかの箇所を切り込んでいく
これでチェーンソーでの加工は完成です!
加工した丸太を自然乾燥させる
丸太が乾燥していない場合は自然乾燥させます。
- しっかり乾燥した丸太:トーチとしてすぐ燃やせる
- 切ったばかりの生木の丸太:燃やすには数ヶ月〜1年以上の自然乾燥が必要
正直、乾燥は不確定要素が多くて僕もこれだ!という情報はありません…。
乾燥場所の環境のほかに、木を切った時期、その地域の気候なんかにも左右されるので。
乾燥させる屋外の環境としては
- 日当たりがいい
- 風通しがいい
- 雨ざらしにならない
少々雨に濡れるのは平気だと思います。家の軒下やベランダなんかに置いてみてください。
とりあえず目安として
- ヒノキ:半年以上
- スギ、広葉樹:1年以上
かなと思います。あくまでも目安です。スウェーデントーチは薪のようにあまり細かく割らないので、その分乾燥に時間がかかります。
含水率計があれば便利
木の含水率でいうと、だいたい20%未満。ここがボーダーライン。
なので乾燥具合を定量的に知るには「含水率計」を使ってください。
Amazonなんかで売っている2000〜4000円くらいの安物でも十分計測できます。
今回加工したヒノキはある程度乾燥させていたので、いちばん高い部分で24%くらいでした↓
切りたての木だと含水率は35〜40%近くあるのでけっこう乾いています。
さらに乾いてくると20%未満になって、燃やすにはいい感じになります↓
含水率計がない場合、乾燥期間と丸太のひび割れ具合で判断してみてください。乾燥がすすむとかなりひび割れが起きます。
↓僕が使っている含水率計です。
ちなみにスギはヒノキと同じ針葉樹ですが、中心が黒いものは広葉樹並みに乾きにくいです。なので黒いか黒くないかの見分けがつかなければ、あまりトーチの素材としてオススメできません。
黒芯のスギを含水計で測ってみると、1年以上たっても20%未満になっていませんでした↓
まとめ:スウェーデントーチ作りは気長にやりましょう
作り方は単純です。
- 加工する丸太を調達する
- チェーンソーでスウェーデントーチに加工する
- 自然乾燥させる
調達した丸太で乾燥期間は左右されるので、基本は「長いこと乾燥が必要だ!」と思って作ってみるのがいいと思います。
トーチの使い方などは別記事で紹介してます。
おしまい!