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熊本市/ボランティア

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5月12日〜19日の8日間、熊本市の災害ボランティアに参加してきた。理由としては単純に行ってみたかったのが半分、もう半分は時間が余っていたから(無職なので)。下記は自分が見たり聞いたり活動した、2016年5月19日(木)までの簡単な備忘録。



1.ボランティアの情報収集

2.向かうための事前準備

3.現地での受付〜活動の流れ

4.実際にやったこと

5.参加している人たちについて

6.熊本市内(中心部)の様子について

7.行ってみて思ったこといくつか

1.ボランティアの情報収集

熊本には行ったこともないし、災害ボランティアもやったことがなかった。とりあえず「熊本 ボランティア」でGoogleに打ち込んで検索した。だいたいの情報はそれで得られた。ただウェブの情報だけでは判断がつかないこともあったけれど、現地に直接問い合わせることはしなかった(連絡を控えるような説明もあったので、あと電話が苦手だから)。ツイッターで検索することもしたが、大した成果はなかった(使いこなせてない)。

Q.そもそもどこに行けばいいんでしょうか?

Googleで検索すると「熊本地震特設サイト」があって、そこには各市町村の情報発信サイト(基本的には社会福祉協議会(よく「社協」と略されている)のHP)へのリンクと、フェイスブックやツイッターなどSNSへのリンクが一覧で掲載されている。くわえてボランティアの参加対象者(県内在住・九州在住・全国など)も表示されていて、主にこのサイトを見て判断した。熊本市の社協HPを見ると1,000人程度の募集がされていて、日々の活動報告では定員には達していないようだった。土地勘がまったくないこともあり、とりあえず熊本市の災害ボランティアセンターに向かうことにした。

Q.いったい何をするんでしょうか?

熊本市社協HPの『ボランティア活動を予定されている方へ』という案内には、活動内容について

在宅の災害要援護者(高齢者や障がい者等)など、家屋の片づけが自身では困難な方に対する室内清掃や瓦礫撤去等の片付け支援・避難所での清掃活動等の環境整備、救援物資の仕分け作業

とあり、現地での活動の流れとしては

センターに集合後、熊本市電・各種バス・センター手配のジャンボタクシー等を利用し災害現場に向かい活動していただきます。

との説明が掲載されていた。当日なにをするかは行ってみないと分からなかった。

2.向かうための事前準備

参加するにあたり「宿泊や交通手段、飲食はすべて自己で手配」「事前にボランティア保険に加入しておく」「活動に必要な道具を持参する」の3点をクリアしないといけないようだった。

宿泊と交通

楽天トラベルなどで検索すると市内のビジネスホテルなどはすべて空きがなかった。少し調べると「ボランティアビレッジ」という場所が現地の崇城大学で開設されていて、そこではテント泊や車中泊の場所を提供していた。テントは貸出しており、場所代500円+貸出500円の合計1,000円で宿泊できるようだったので、ここを拠点として利用することに決めた。寝袋で寝ることになるけれど、シャワーもあるし、何より安いのはありがたかった。交通手段は夜行バスで博多まで向かい、そこから熊本までの高速バスで向かうことにした。食事は現地のコンビニやスーパーマーケットはさすがに機能しているだろうと判断して、初日用にカロリーメイトをいくつか買っておいた。

ボランティア保険の加入

住んでいる岡山市のボランティアセンターで加入した。手続きはあっという間に終わる。費用は天災プランで年間500円くらい。

道具と荷物の準備

社協のHPを参考になるべく万全の装備にしておこうと思い、ゴム手袋、ヘルメット、長靴のインソールをホームセンターで購入(結局ゴム手袋以外はなくてもよかった、これは現場によると思う)。30Lのバックパックには下記のものが詰め込まれた。おかげでバックパックは限界を超えて奇妙な形に膨らんだ(おもにヘルメットのせい)。

・ヘルメット(使わず、現場によりけり、貸出もしていた)
・長靴(踏み抜き防止のインソール入り、これも使わず、ただ雨の日は長靴あった方がいい)
・マスク5枚(現地でも支給される)
・ゴム手袋(作業しやすい薄手のもの、家具の移動や割れ物を掴むのにめちゃくちゃ役立った)
・帽子
・折りたたみ傘
・ザックカバー
・6日分の下着
・タオル、バスタオル
・着替え1セット(チノパンツ、Tシャツ)
・寝袋
・シート(ダイソーで買った180×90cmの薄手の銀マット/150円)
・ワラーチ
・スマートフォン充電器
・手帳、ボールペン
・ビニール袋5枚(スーパーのやつ)
・文庫本(ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄(上)』)
・カロリーメイト(チーズ味タブレット×2)

とりあえずこれだけのことを準備してから、一週間程度の参加を予定して現地に向かった。

3.現地での受付〜活動の流れ

ボランティアセンターは花畑広場に設営されていた。そこは市の再開発で暫定的に設置されている多目的広場らしかったけれど、現在では完全にボランティアセンターのみの運営スペースになっている。

受付

まず広場付近の地下通路で受付を済ませた。そこでは新規か継続かで区分され、新規であれば受付用紙に個人情報を記入し、ボランティア保険の加入状況を確認され、最後に自分の名前と日付を書いた赤い腕章(シール)を左右どちらかの腕に貼付けた。これがあれば市電やバスが18時まで無料で利用できるとのこと。

マッチング〜活動

そのあと地上の広場のテントに移動して、活動についてのオリエンテーション(5分くらい)を聞き、そしてマッチング作業となる。ボランティア要請ひとつひとつが口頭で説明され、希望の活動に挙手して参加する。人数が揃ってグループができたらその中でリーダーを決め、リーダーは活動の仕切りやセンターとの連絡係になる。活動内容から必要な道具(ほうきや軍手、マスク、土嚢袋、シャベルなど必要と思われるもの)を資材係に伝えて準備してもらう。準備ができたら現地までタクシーや市電、バスなどで向かう。

ボランティア中は必ずグループ全員で行動し、終わったら全員でセンターまで戻り、リーダーが意見など取りまとめて運営スタッフに報告し、そして終了、といった流れ。受付は9時〜11時まで、活動は長くても15時までで切り上げて、16時までにボランティアセンターに戻らないといけない。

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<花畑広場にある災害ボランティアセンターのテント>

4.実際にやったこと

8日間を通じて行った活動としては、「室内の片付け」「倒れたブロック塀の片付け」「落ちた瓦の片付け」「災害ゴミの搬出」だった。

5/12(木)

博多から高速バスで熊本まで来た際、益城ICからの大渋滞で到着が遅れて、受付したのは10時30分頃だった。土地勘もないし参加も初めてで本当に右も左も分からない状況の中、とりあえず受付を済ませてマッチング作業を待った。テントの下で待機している人は結構いた。自分も30分くらい待った。

「民家の倒れたブロック塀の片付け作業」が初日の活動だった。現地にはジャンボタクシーのバンで合計6人で向かい、倒れているブロック塀を砕いて土嚢袋につめたり、大きい塊は積み上げて通行の邪魔にならないよう整理した。1時間半ほどで終り、住民の方に頂いたお茶を飲んでから全員でバス停に向かうと次の便まで1時間以上あった。メンバーの誰かが市電の乗り場が近いことを調べてそこまで歩き、市電でセンターまで戻った。ああこういう感じなのかと思った。まだ13時過ぎだったけれどその日の活動はそれだけだった。移動時間を考えると1日1件が限度のようだった。

5/13(金)

タクシーで10分くらいの場所に男女合わせて9人で向かった。5階建ての棟が立ち並ぶ団地だった。団地内でボランティアの要請をひとりの住民男性がとりまとめていたけれど、どうやらその日は3件しかなく、部屋の片付けが主だった。3人ずつの3グループに分かれ、それぞれのお宅に向かった。僕が向かったのは5階の高齢の女性がひとりで住まれている部屋で、和室にあるタンスや本棚、仏壇などが倒れ、めちゃくちゃに物が散乱していた。ただ作業自体は大した分量ではなかったので、いっしょにいたリーダーを中心に家の女性と会話しながらゆっくりと片付けをした。自分たちは業者じゃないのでてきぱきと作業する以外にも、住民と会話することも大切だとのリーダーの話に、なるほどと関心したけれど、自分はほとんど話しかけることを思いつけなかった。

ほかのお宅のうち1件は不在、もう1件もすぐ終わった様子で、団地の公園のテントで1時間ほど待機して引き続き要請を待ったけれど、結局何もなくて12時に切り上げ、市電でセンターまで戻った。どこもこういう具合なのかなと思った。

5/14(土)

8時過ぎから受付の列に並んでいると、運営スタッフから南区のほうで新しくボランティアセンターが開設したとのアナウンスがあり、90名程度を募集するとのことで、それに参加することにした。場所は「城南」という南に1時間ほどの地区で、全員でバスで移動した。到着したセンターで5名ずつのグループに分かれ、タクシーでそれぞれの場所に向かった。

城南は田畑の広がる緑豊かな地域で、農家が多いらしくどこの家も中央区と比べて大きかった。到着した民家の状況を見て言葉を失ってしまった。門は傾き塀は崩れ、大量の屋根瓦が地面に落ちていて、窓や扉は歪んで動かず、室内の棚はほとんど倒れて割れた食器やガラスが散乱していた。あまりにひどかった。そういう状況でもおじいさんが1人で住んでいて、家族もその状況に最近気づいたらしかった。5人で手分けして時間いっぱい作業し、家の中はかなり片付いた。

5/15(日)

車で10分くらいの場所にあるマンションのお宅で、災害ゴミの搬出依頼だった。耳が不自由とのことで筆談でのコミュニケーションを指示された。佐賀県からきたおじいさんが自前の1.5tトラックを出して、東京から戻ってボランティアに参加している女性と、僕の3人で向かった。この日はリーダーを務めた。7階の部屋を訪ねるとゴミはまとめてくれていて、とりあえず乗ってきたトラックに積んだ。しかし災害ゴミを出す場所が住民の方には分からず、かなり困ってとなり近所のお宅に聞いて回り、ボランティアセンターに電話で相談したが何ともならず、結果的に向かいのビルに確認して脇にあった集積場に出させてもらうことで落ち着いた。佐賀のおじいさんはトラックが大して役に立たず残念そうだった。まあ運搬したのは10mくらいだったので。

12時頃にボランティアセンターに戻ると珍しく2件目の要請があり、男性1人といっしょにバスで民家の片付けの応援に向かった。3階の部屋から駐車場に不要なものをひたすら出す作業で、時間いっぱい作業した。

5/16(月)

この日は朝から大雨で、要請はキャンセルが相次いでいるようだった。男性4名でマンションの7階のお宅に向かった。この日もリーダーになったのでバスの場所や時間など率先して調べた。「作業のボリュームは少ないので男性4名だと物足りないかもしれません」との説明だったけれど、室内の散らかり具合はひどかった。建物を巨人につかまれて上下左右に振られたような光景だった。マンション自体も一見すればキレイだったけれど、外壁の亀裂があり、柱の内部にダメージがあるようだった。この日も時間いっぱい片付けを行った。頂いたカステラがとてもおいしかった。

5/17(火)

再び南区の城南に参加した。庭先に集められた屋根瓦を砕いて土嚢袋に詰め、集積場まで持っていく作業を5人で行った。運搬には軽トラを出してもらった。時間いっぱいの作業となった。庭がとても広く、雉子が鳴いていた。休憩時に頂いた「いきなり団子」は食べごたえがあって美味しかった。

5/18(水)

引き続き城南に行き、民家の室内の清掃と、落ちた瓦や崩れた土壁を土嚢袋に詰める作業を5名で行った。住宅は基礎が崩れて斜めになっており、応急危険度判定の「危険」を示す赤紙が貼られていた。この日も時間いっぱい作業した。休憩時に西瓜を頂いた。

5/19(木)

市電で15分くらいの中央区にある住宅に男性6人で向かい、2階の物置の整理と搬出をした。この日が最終日だったのでリーダーを務めた。作業は大した分量ではなく12時で終わった。家の中もひどい状態のようだったけれど、書類など必要なものを分けないといけないのでひとまず自分たちで片付けるそうだった。途中に荷物を回収にきたトラックへ積む際、前職で習ったロープ技術が少し役に立った。

5.参加している人たちについて

ボランティア中に出会った人たちに対して、人見知りのくせにめずらしく自分から話しかけることが多々あった。それはたぶん共通の事柄として「どちらから来られているんですか?」「どのくらい参加されるんですか?」「宿泊はどうしているんですか?」の3つが誰にでもあてはまったので、話題を探すのが簡単だったからだと思う。あとは何というか、せっかく来たんだし、話しかけて損はないような雰囲気もあって、そもそもみんな目的は同じなので。年齢層は10代〜70代まで老若男女問わず幅広かった。

Q.どちらから来られているんですか?

との質問をすれば、鹿児島、福岡、長崎、佐賀など九州以外にも、埼玉、三重、栃木、千葉、東京、神奈川、静岡、滋賀、大阪、兵庫、鳥取、香川、広島、沖縄など、本当に様々な回答が返ってきた。岡山の人は出会った中ではいなかった(岡山市の腕章をつけたグループを最終日に見かけた)。熊本市内の人もいた。

Q.どのくらい参加されるんですか?

との質問をすれば、1〜2日の短期の人(多かった)、1週間程度の人(これも多かった)、2週間程度の人(少なかった)、1ヶ月を超える人(かなり少なかった)とこれも様々だった。土日のみの人もいれば、その前後に休暇を入れて4〜5日くらい参加する人もいた。勤めている会社によってはボランティア休暇がある人もいて、費用は会社が負担してくれる場合もあった。

Q.宿泊はどうしているんですか?

との質問をすれば、「車中泊」と答える人がかなりいた。あとは温泉施設の仮眠所だったり(「ゆらっくす」という施設はボランティア用に半額で宿泊提供していた、さらに日帰り入浴は無料)、中には河原でテント泊しているおじいさんもいた。ビジネスホテルに泊まっている人に聞くと、部屋で仕事もしているとのことでそれは大変だと思った。僕と同じボランティアビレッジの人もかなりいて、何人かとは顔なじみになって話がしやすかった。

6.熊本市内(中心部)の様子について

初めて訪れた熊本市の繁華街は、見るかぎり岡山よりも活気があって、これほど大きな町だとは思ってもみなかった。人口も70万人程度で岡山市と変わらない。町の中心は熊本駅周辺ではなく、少し北にある熊本城を中心に栄えていて、自動車にくわえて市電やバスの往来も多く、広島市の光景を思わせた。一見すると日常に問題なさそうに見えたけれど、歩けば地震の影響はすぐに目につく。

店の営業

地震により長期閉鎖している店舗は繁華街である上通り/下通りのアーケード街にもいくつかあって、また営業時間を短縮している店も多かった。

道路

タイルやアスファルトが割れている箇所はいたるところにあった。自転車で通るには結構気をつけないと危ない。頭上注意を喚起する看板やパイロンも置かれている。また災害ゴミが回収されずに残っていて、歩道の半分を占領しているような場所もいくつかあった。

熊本城

想像以上に極めて立派な建造物で、これほどの規模があれば十分な観光名所になると思った。けれど報道されていたとおり被害は凄まじく、いたるところで石垣が崩れ、城内は完全に封鎖されていた。修復にはどれほどの時間がかかるんだろうか。熊本城のふもとにある「城彩苑」は新しい建物なのか被害もない様子で、複数の食事処や土産物屋が営業していた。

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<二の丸公園から見た熊本城>

7.行ってみて思ったこといくつか

・初めてのことばかりだったけれど何とかなった。行きたいと思えば気負わずに参加すればいい。
・九州への旅行途中で1〜2日参加という人もいて、そういう形で気軽に参加する人が増えてもいい。
・活動に関しては、あっさり終わってしまうことが続けば、何となく不完全燃焼になる。がっつり時間いっぱい片付けをしてキレイになれば気持ちが良い。
・南区の城南では5月14日にやっとボランティアセンターが開設されたみたいで、市内の中心部でも住宅によっては片付けや清掃がこれからというところもあった。だから、単純な力仕事としてでもボランティアの力は当面必要なはず。
・個人で参加した場合、少しでもいいから回りの人との交流があった方がしんどくない(のと、楽しい)。
・ボランティアに参加していた人たちは、当たり前だけれど自分の時間やお金などリソースをさいて来ていて、それは考えてみればすごいこと。
・涙を流してお礼を言われることもあったけれど、まあ困ったときはお互い様で、そんなに気にかけることない。

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