チェーンソーで木を切るためのバイブル『伐木造材のチェーンソーワーク』

木の切り方

林業を始めてから、1冊の本を指針として木の切り方を勉強してきました。

その本は『伐木造材のチェーンソーワーク』。

タイトルのとおり、木を切り倒す「伐木」、木を丸太の状態に加工する「造材」、それを実践するためのチェーンソーの技術について書かれた教本です。

 

「チェーンソーで木を切る」ということを理解するために

僕は2017年4月から林業を始めて、右も左もわからない中でチェーンソーを扱いました。

  • 刃先を木に挟まれる
  • 誤って地面を切ってしまう
  • 思った方向に倒れない
  • 木が切れる前に裂けてしまう
  • チェーンソーのフォームがいまいちわからない

・・・失敗や試行錯誤を数えればきりがありません。

チェーンソーで木を切る」というのは、言葉は単純ですがめちゃくちゃ奥が深いです。

それを徹底的に掘り下げて、実践的に解説しているのがこの教本です。その思考の深淵さに感動したほどです。

日々の作業をふりかえりながら、『伐木造材のチェーンソーワーク』を読み返す。そうすることで「チェーンソーで木を切る」という行為がそもそもどういうことか、少しずつですが頭と体で理解できるようになりました。

今ではすっかり僕にとってのバイブルです。

 

どの章も読みごたえ十分

この本は全6章から構成されています。

・第1章:チェーンソー

・第2章:目立て

・第3章:伐木の訓練

・第4章:伐木造材

・第5章:伐木の補助器具

・第6章:伐木の指導

 

一通り読めば、チェーンソーの扱いから伐木造材にいたるまでの体系的な知識を得ることができます。

ページ数がもっとも多く割かれているのは第4章「伐木造材」。チェーンソーでいちばん大事なメンテナンス「目立て」についてもかなりのボリュームがあります。

200ページもない本ですが情報量はかなりのもの。ただ読んでも実践しないと理解できないので、実践あるのみです。

 

良い意味で教科書っぽくない

教科書というのは読んでいて退屈です。が、この本は良い意味で「教科書っぽくない」です。

僕が思うに2つ理由(=魅力)があります。

①実践的で重みがある

僕がチェーンソー特別教育(業務で扱うために必要な講習)を受講したとき、『チェーンソー作業の安全ナビ』という教本で習いました。

今読むと参考になる部分もありますが、やっぱりマニュアル的で、響いてくる感じがありません。

『伐木造材のチェーンソーワーク』は常に実践的で、踏み込んだところまで丁寧に解説されています。説明の1つ1つに重みがあります。

とくに「安全な伐木作業」の意味については独自に定義されています。引用すると、

安全な伐木作業とは、

作業者が、対象木を作業開始から、終了まで十分なコントロール下に置くこと

(p68)

です。「言われたらまあそのとおりだよなー」と思いますが、意識しないとおろそかにしがちなのも事実。

その大前提をもとに、伐木造材を行うためのノウハウが網羅されています。なので読むと気が引き締まります。

 

②著者の文体が良い

ものすごく丁寧に「文字で」解説してあるので、文章量がマッシブです。

けれど文体、というか言い回しに味があって、まるで語りかけられているような錯覚を起こします。読んでいて飽きません(僕は)。

例えば「目立て」の仕組みの解説後↓

さあ、どうですか?うまく研げたでしょうか?切れ味はいかがでしょうか?

なんと まだ良く切れない……。

(p42)

そこから目立ての対策についての導入↓

カッターを研ぐに当たり、ヤスリが切れる状態のものであれば、誰が行なっても刃は削れていきます。しかし、問題なのは取り敢えず削れさえすれば、刃が切れるようになるかというとそうではありません。

〜中略〜

そこで、研ぎ上げたカッターの形状がダメな症状を挙げて、それを克服するにはいかにすれば良いかが上達の早道になりそうなので、その方向で進めます。

(p43)

冗長すぎてうざい…と感じるかもしれませんが、文字ベースでは限界があるので、これくらい丁寧に解説してくれないと理解できない気がします。

読んでみて説明の意味がわからなくても、現場で経験値を得てから読むと「なるほど!」と腑に落ちることが多々あります。

 

なぜ「追いヅル切り」をすべきか

この本では、伐倒の切り方について「追いヅル切り」を推奨、というかそれが当たり前という論調で書かれています。

それは結局、前述の「安全な伐木作業とは?」に行き着きます。追いヅル切りのメリットを生かさない手はありません。

僕もこの本をもとに、自分なりに「木が倒れる仕組み」「なぜ追いヅル切りが良いか」を記事にまとめてみました。

 

【伐倒】林業でいちばん基本的な木の倒し方「追い口切り」と、木が倒れるしくみ

【伐倒】追い口切りより安全で確実な「追いヅル切り」

 

結果、伐倒のときは基本的に追いヅル切りを選択しています。

 

伐木造材のランク制度あり

この本の著者である石垣さん、米津さんは「ジット・ネットワークサービス」というNPO法人を作られており、全国で伐木についての指導をされています。

そこでは伐木造材の「ランク制度」を設けていて、学科・実技試験を受けることで1〜8までのランクを取得できます。

実技試験の様子↓

僕も素人ながら試験を受け、学科はランク3、実技はランク4に合格することができました。

(1年後に学科試験を受け直し、晴れてランク4になりました)

お金もけっこうかかりますが、自分のスキルがどの程度なのか客観的に審査されるのは面白いし、林業という分野では貴重な機会だと思います。

『伐木造材のチェーンソーワーク』をきっかけに、ランク試験にチャレンジするのもアリです。

 

・・・

以上、『伐木造材のチェーンソーワーク』の紹介でした。

チェーンソーを扱いだして間もない人、我流でやっててレベルアップしたい人、チェーンソーワークを指導する立場の人なんかには超オススメの本です!

おしまい!

コメント