こんにちは、がっちょといいます。
ただいま間伐作業の真っ最中。
ひたすら人工林の中で、針葉樹(スギとヒノキ)を切っています。
伐倒でもっともネックになるのがかかり木。

受け口・追い口をつくって狙い通りに木を傾けても、他の木によりかかって倒れない状態をいいます。
それをどう処理するかも伐倒の面白さだ!と僕は思います。
常にかかり木になりやすいヒノキについて、最近わかってきた倒し方をつらつらと書いてみます(まったく参考にならんかも…)。
スギは楽、ヒノキは大変
スギとヒノキ、どちらが切り倒すのが楽かといえば、圧倒的にスギです。
スギがなぜ楽かといえば、
- 繊維が柔らかいのでチェーンソーですぐ切れる
- 枝の強度が弱いので、ほかの木にかかっても枝が折れて倒れる
なので、受け口と追い口をつくって、クサビを打ち込んで傾けていけば、すんなり倒れやすいです。
スギは倒していて気分が良い。
これぞ伐倒…。
しかし!!!
ヒノキはそうはいかない。
スギにくらべて繊維が固いのに加え、問題なのが枝。
ヒノキは枝数も多くて、枝振りも大きい。おまけに枝は非常に強いので、他の木に掛かったらさあ大変。
↓ヒノキの凶悪な枝ども

木の自重でもなかなか折れない曲がらない。
ロープなんかで人が加える力ではまず折れません。
なのでどうにかこうにか木を動かしながら、枝の間をすり抜けていくしかない。
ヒノキはかかり木になるのが前提、そこからどう倒すか
ヒノキの林で伐倒するなら、切ろうとする木は枝を伸ばしまくった同じヒノキに囲まれています。

なので倒したい方向に空間がない場合が多く、かなりの確率でかかり木になります。
結局「かかり木になることを前提に、どう倒すか」を考えないといけません。
枝の絶対包囲?を解く術はもう、経験と応用力がものをいう世界です。
要はその人の腕次第。
倒すための方法と道具
僕が伐倒してかかり木になると、最初のころはもうにっちもさっちもいかず、呪いの言葉を吐いて途方にくれていました。
ヒノキがかかり木になった場合、僕にできる対処は主に下記の3つ。
- ロープをかけて引っ張る
- クサビを打ち込んで傾けていく
- フェリングレバーで回転させて落とす
試行錯誤していくなかで、何となく倒し方がつかめてきました。
つかうのはクサビとフェリングレバー。
この2つがあれば、とりあえずロープはいらないと思います。
あえて、かかり木にして倒す方法
ではどう倒すか。下記の図で説明してみます。

倒したい方向に、奥側(①)と手前(②)の2本の木が邪魔をしています。
その間に倒したい。
今まで僕は素直に真ん中を狙っていましたが、そうすると両方の木に枝がかかって、なっかなか抜けなくなります。
例えるなら、両腕を広げて2人の間にダイブする感じ。
なのでまず、①の木を狙ってかかり木にします。

↓イメージ

↓実際にかかり木にした様子。

この状態ではまだ倒す木と、②の木の枝とが邪魔しあっています。
②の枝を抜けるために、クサビを打ち込みまくってさらに傾けていきます。
クサビ大1個では足りないので、僕は打ち込んだクサビ大の下にチェーンソーで突っ込み切りをして、クサビ中を打ち込んでいます。
それでも足りなければさらに下に追加。

ハンマーで打ち込むのは体力を使いますが、これで枝がバキバキとしなり、②の枝を抜け、①へさらに寄りかかります。
倒す木の重心も、確実に受け口方向に移動できます。
↓クサビでさらに傾けた様子。

ここまでくればあと少し。
↓反時計回りに木を回転させることで、①からの脱出をはかります。

ここでフェリングレバーの出番ですが、木を回転させるにはまず追い口のクサビ大を外します。
クサビを外しても、②の枝を抜けていれば、倒す木が追い口側に傾いて戻ってくることはないはず。
が、打ち込みが甘いと枝に押し返されて戻ってきてしまうこともあるので、クサビを外すときは要注意。
↓クサビを外したら、チェーンソーでツルの両側を少しずつ切り込んで、真ん中だけ残します。

真ん中の切り残しが回転する軸となります。
あとはフェリングレバーを幹にかけて、反時計周りに回します。
オラァァァァァ!

↓狙いどおりに倒れてくれました。

チェーンソーとクサビとフェリングレバー。
この3つで倒すことができる、シンプルな方法だと思います。
加えてフェリングレバーは、木回し以外にもテコを使える非常に便利な道具。
例えば上方伐倒なら、ツルを完全に切り離した状態で、テコを使って根元を斜面下にずらしていけば、先っぽのかかりが外れて倒せます。
要はかかり木を倒すには、樹冠をずらすか、根元をずらすかです。
この伐倒方法の問題点
かかり木にして、回転させて枝をすり抜けながら倒す。
良い方法だと思いますが、問題もいくつかあります。
①伐倒方向のコントロールがむずかしい
通常の倒し方は、ツルを効かせて受け口を閉じるように倒すので、精度の高い伐倒ができます。
けれど前述の方法では、ツルを弱めて回転させ始めると、ほぼ障害物と木の自重まかせになります。
回転させたい方向に回転しなかったり、回転させてまた別の木にかかったりして、意図した方向からずれた場所に倒れることもあります。
ただ、まったくコントロールを失って反対側に倒れてくる、ということではありません(重心をクサビでしっかり移動させているので)。
ピンポイントで狙うのは無理にしても、少々の誤差が問題ないのであれば、かなり有効な伐倒方法だと思います。
②体力の消耗が激しい
クサビの打ち込み、フェリングレバーでの木回し。
いずれもパワー勝負になるので、伐倒が終わってヘトヘト…、なんてことが僕は多々あります(下手なだけか)。
③判断がむずかしい
周囲の枝ぶりの様子、かかり木にする木、ツルの幅、クサビを打ち込む順番、打ち込む位置、回転させる向き、回転させたあとに落ちる場所。
事前に考えることが通常よりたくさんあって、うまくいくかは経験がものをいうなーと思います。
「あら?この木の間はやっぱ抜けられなくね…?」など、切ってみてダメだったみたいなことは、経験値をつむことでしか判断がつきません。
ただ、考えまくって予想通りうまくいったときの喜びも多いです。
④追記:上方伐倒するには限界がある
この方法は「周囲の枝を押し広げて、ある程度枝を抜ける」ことをクサビだけでやります。
下方伐倒の場合、重心がもともと下方にあるのがほとんどなので、木の自重をつかって枝を押し広げるのは容易です。
けれど上方伐倒はまず重心を上方に移動させないといけないので、次の枝を押し広げるところまでクサビでやるのは限界があります。
比較的スペースが開いている場合はいけますが、枝が込み合っていると無理だな、というのが実感。
やっぱりロープを補助的に使って、倍力を組んだりプラロックなど牽引具である程度引いて、枝を抜けさせる作業が必要だと思います。
プラロックはかなり牽引具として優秀。
・・・
チェーンソーを扱い出して1年未満の僕でも、この方法でそこそこできています。
が、もっといい方法がないか、試行錯誤していきます。
おしまい!