稲穂を見て思うこと

村上春樹

毎朝、現場にむかう道中にはいま、金色の稲穂が広がっています。

いつ見てもきれいだなーと思います。

津和野町の稲刈りは早く、9月の初旬から刈り取りが始まっています。

僕の地元である岡山県南部では、稲刈りは10月中旬くらいからだったので驚きました。

徐々に冬に向かって景色が様相を変えていくこの季節。だんだん物悲しくなっていく様を目にするたび、早く通り過ぎてほしいと感じます。

 

ル・マル・デュ・ペイ

最近、村上春樹『色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年』を読み返していて、次の会話文が目にとまりました。

ピアニストであるフランツ・リストの「ル・マル・デュ・ペイ」という曲について語る、主人公の友人の台詞です。

le Mal du Pays フランス語です。

一般的にはホームシックとかメランコリーといった意味で使われますが、もっと詳しく言えば、『田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ』。

正確に翻訳するのはむずかしい言葉です。」

(単行本p62)

 

“田園風景が人の心に呼び起こす、理由のない哀しみ”

非常に的を得た言葉だと思いました。秋口に実る稲穂を見て感じるやるせなさも、まさにこれではないのかと。

 

もしその理由があるとすれば、それは「郷愁」だと思います。

これも説明の難しい言葉ですが、以前にその意味について自分なりに言語化してみました。

>>過去記事:ローカル電車の天井に設置された扇風機を見て考えたこと

 

今読み返しても、同じ考えでした。

 

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