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【メモ】結婚式のCD音源利用についての著作権

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友達から頼まれた、結婚式のプロフィールムービー作成。

CDS_weddings_TP_V

 

プロフィールムービーには当然BGMも入れるんだけど、「音源に好きなアーティストのCD曲を使う場合、その著作権ってどうなってんだろ?」と念のため調べたことの備忘録。

(著作権はとても複雑なので、ブライダル事業者や著作権の専門家、権利団体に相談するのがベストだと思います。2017年2月時点で、素人が断片的な情報をまとめたものに過ぎないので、あくまでも参考程度までに)

【参照したもの】
結婚式における音楽利用の著作権が分かり難過ぎるので整理する(個人の方のブログ記事)
ブライダルでの音楽利用について(JASRAC)
著作権法
『 結婚式などのブライダル 』 内のFAQ(JASRAC)
ISUM(よくある質問ページ)

著作権法がはたらくので、許可が必要

市販のCD音源をコピーしてプロフィールムービーのBGMにして、それを結婚式で上映する」という場合、下記の著作権がはたらくため、それぞれ利用許可の申請が必要になる。

 

【創作した人(作詞者・作曲者)】の権利である著作権

 

【伝える人 (アーティスト・レコード製作者など)】の権利である著作隣接権

 

留意すべきポイントは以下の3つ。

 

1. 「複製権」の利用許可

創作した人の著作権における「財産権」の1つ。複製(コピー)する権利は著作者が専有しているので、他人が勝手にコピーしたらダメ。

 

(複製権)
第二十一条  著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

 

ただしこれには権利制限があって、ごく個人的に利用するために音源をコピーしたりするのはOK。日常的に著作物を利用できているのは、この範囲に収まっているから。

 

(私的使用のための複製)
第三十条  著作権の目的となつている著作物(以下この款において単に「著作物」という。)は、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用すること(以下「私的使用」という。)を目的とするときは、次に掲げる場合を除き、その使用する者が複製することができる。
結婚式でプロフィールムービーを上映する場合、多くの人に見てもらうことを目的にしているので、この範囲にはあてはまらない。そのため市販音源をBGMとしてコピーして、ムービー作成するには創作者の利用許可が必要

 

2.  「演奏権」の利用許可(しなくていい場合が多い)

同じく「財産権」の1つ。その音楽を演奏する権利は著作者が専有している。単に音源を再生するのもこれに該当する。

 

(上演権及び演奏権)
第二十二条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。
同じくこれにも権利制限がある。

 

(営利を目的としない上演等)
第三十八条  公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。
 ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

結婚式の場合、この演奏権を利用するのは「式場」と解釈される。これは完全に営利目的なので、権利制限はあてはまらない。そのためほとんどの式場は、JASRACなんかの音楽権利団体と利用契約を結んでいるみたい。

なので複製していない音源(CDの原盤など)の「演奏」に関しては、個別に利用許可なくできる(式場に要確認)。

3. 「著作隣接権」の利用許可

アーティスト(実演家)やレコード会社は音楽を「伝える側」として、創作者の権利(著作権)とは別の「著作隣接権」を持っている。それに関しても利用許可が必要。

著作権法を確認すると、「第二節 実演家の権利」の中には演奏権なるものがない。なので 演奏する許可は不要だと思われる(たぶん)。

けれど 「第三 レコード製作者の権利」にはしっかりと複製権がある。

(複製権)
第九十六条  レコード製作者は、そのレコードを複製する権利を専有する。

なので1と同じ。市販CD音源をBGMとしてコピーして、ムービー作成するにはレコード会社の利用許可が必要

利用許可の申請方法

申請に関して調べた限りでは「個人での手続きがむずかしい」という印象。

「著作権の複製権」はJASRAC

国内音楽の著作権はJASRAC(日本音楽著作権協会)が管理している場合が多いので、ここで申請できる。管理しているかどうかは「J-WID」という作品データベースで検索可能。

 

「著作隣接権」はレコード会社?

ここがよくわからない。JASRACのQ&Aページを見ると、「日本レコード協会へお問い合わせください」との説明。つまりJASRACでは扱っていない。

また、市販のCDなど第三者が製作した音源を複製する場合、著作権とは別に、レコード会社や歌手・アーティストなどの権利が働くことから、それらの許諾も必要となります。
ブライダルでの複製利用に関しては、一般社団法人日本レコード協会(電話番号:03-5575-1304)へお問い合わせください。
Q&Aページ

このほかに「音楽特定利用促進機構:ISUM(アイサム)」という団体がある。ここではブライダル利用のための音楽著作権の手続き代行をしている。

一般社団法人音楽特定利用促進機構(ISUM)は、ウェディングシーンにて市販CD音源を複製利用する際に必要となる、複製権(著作権・著作隣接権)の利用手続の代行をしている機構です。(よくある質問

けれど利用できるのは登録しているブライダル事業者だけで、個人での申請については説明がない。おそらく事業者に依頼しろってことだと思う。

しかも利用登録されている楽曲は6000曲程度(2017年2月時点)。なければ都度リクエストが必要とのこと。

日本レコード協会の「音源利用許諾窓口一覧」から個別の窓口を確認してみると、ISUMに手続きを完全委託しているレコード会社もいくつかあった。

※結婚式での音源利用申請について
結婚式、披露宴、結婚パーティーにおける音源利用申請につきましては、一般社団法人日本レコード協会に許諾業務を委任し、当該業務を代行する一般社団法人音楽特定利用促進機構(略称:ISUM=アイサム)にて受け付けることとなりました。
つきましては、当該音源利用の申請は、当該法人宛てに申請をお願い致します。
エイベックス・グループ

なので、コピーして使いたい音源がISUMしか受付していなければ、個人ではどうにもならないかも。まず日本レコード協会に問い合わせてみるのがベストかと思う。

 

利用許可がいらない方法(対処法)

申請しないので、全部トレードオフのある方法。

ムービーと音源を別々に再生させる

BGMなしの映像だけのDVDを式場へ渡して、曲は原盤のCDを預けてタイミング良く映像と一緒に流してもらう。これが一番現実的。映像と音楽とのシンクロができないけど、強いこだわりがなければありだと思う。

著作権フリーの音源をBGMとしてつかう

楽曲に希望がなければこれでもありだと思う。(けど、そもそも使いたい曲があるからどうにかしようと調べるわけで…)

業者に作成依頼する

業者がBGMの利用申請を代行してくれるので、ありだとは思う(でも好きな曲が使えるかはわからない)。ムービー作成もプロなので。もちろん相応のお金かかるけど、大事な式なわけだし。

まとめ

最初に述べたとおり「市販のCD音源をコピーしてプロフィールムービーのBGMにして、それを結婚式で上映する」というのを個人でやろうとする場合、

①著作権の複製権(創作者)
②著作隣接権の複製権(レコード会社)

の2つについて、それぞれ利用許可の申請が必要になる。

①はJASRACで申請できる可能性が高い。けど②に関してはレコード会社次第(ISUMに代行していたら個人では無理かも)。

なので早めにどんな曲を使いたいか決めて、その手間と費用とを考えて、何を優先させるか選択するしかない。

調べてみて思ったこと

「結婚式」っていう特別なシーンでこそ誰でも好きな音源を使いたいはずなのに、著作権自体が難解で、その手続きが煩雑(上記の内容も間違ってるかもしれない)。しかもこれはCD音源の話で、「ダウンロード楽曲はNG」みたいな謎のルールもあるみたい…(たぶん複製権の問題)。

個人でも簡単にムービー編集できるご時世なんだから、音楽著作権の手続きもISUMのように事業者だけに占有させるんじゃなく、個人レベルで利用できる仕組みにしたほうが絶対いいはず。

もっと手続きとか料金を明確にして、権利者と利用者の双方に利益のある環境にすべきだと思う。

・・・

とりあえず音源を決めてもらってどうするか、だな。

 

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