木の切り方 PR

【伐倒技術】代表的な木の切り方とその特徴について簡単にまとめ。

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木の切り倒し方って「追い口切り」以外にもあるの?「北欧式」とか聞いたりするけど。

木の切り倒し方として、代表的な伐倒技術は「追い口切り」です。

追い口切り以外にも、それをベースにしたさまざまな切り方があります。

それぞれの伐倒技術にはそれぞれの理由があるはず。

まとまった情報がなかったので、代表的な伐倒技術について自分なりに簡単にまとめてみました。

伐倒技術の基本は「追い口切り」

誰もが習うもっとも基本的な伐倒方法です。

海外ではコンベンショナルノッチともいうそうです。

【切り方】

  • 「受け口」「追い口」という切れ込みをつくり、「ツル」を効かせて倒す。
  • 受け口の角度は30〜45°。
  • 受け口の大きさは直径の1/4。
  • 追い口は受け口高さの2/3。
  • ツルの幅は直径の1/10。

【特徴】

  • 重心によっては追い口を切ってる途中で木が傾く可能性あり。
  • 角度や切り込み位置はあくまでも目安。木の条件によっては大きく異なる。

追い口切りをベースにした、いろんな伐倒技術

切り方とその特徴について、簡単にまとめました。

安全性の高い「追いづる切り」

追い口を2段階に分けて切る伐倒方法。

【切り方】

  • 追い口作成時、まず「突っ込み切り」してから前側のツル幅を決める。
  • 受け口の反対側に切り残し(追いづる)を残し、最後に切り離す。

【特徴】

  • 木が安定した状態でツルを正確につくれるので、安全性がとても高い。
  • 偏心木の裂け防止としても多用される切り方。
  • 突っ込み切りできない小径木だと不可。

広角受け口「オープンフェイスノッチ」

いわゆる北欧式とよばれる伐倒方法。

【切り方】

  • 受け口の角度を70°〜90°くらいの広角にする(90°の場合はフンボルトノッチのように下切りを斜めから切り上げる)。
  • 追い口は会合線の高さと一致させる。

【特徴】

  • 受け口が広いため会合線を視認しやすくつくりやすい。
  • 受け口が閉じるのが遅いので、ツルの破断も遅れ、倒れていくときの方向がより安定する。
  • 倒れてもツルが切れていない状態にできる。
  • 追い口を会合線とそろえることで、年輪の影響を受けにくく、ツル幅も正確に決めやすい(失敗すると木が縦に裂けあがる「バーバーチェア」のリスクあり、日本では禁止行為)。

追い口を切り分ける「分割切り」

追い口を左右にわけてつくる伐倒方法。これも北欧式で追い口作成時に使われるようです。

【切り方】

  • 左右どちらかの会合線近くから突っ込み切りしてツルを決め、そのまま平行に後ろへ切り抜く(北欧式の場合)。
  • クサビを打ち込み、反対側も同じように追い口を切る。

【特徴】

  • 突っ込み切りから始めるのは、会合線と高さを確実に合わせ、ツル幅を視認しやすくするため(北欧式の場合)。
  • 2番目の追い口をミスマッチカット(段違い)にする場合、クサビより下のラインで切る(上になる場合、途中で倒れ始めるとチェーンソーが挟まれる可能性あり)。
  • 追いづる切りが不可能な小径木でも安全に伐倒できる(突っ込み切りできなければ普通に後ろから追いを入れる)。

大径木の起こし木に便利な「追い回し切り」

(2023年11月追記)

上記の分割切りに近い切り方で、追い口を左右片側からチェーンソーを回すように切り離していく方法。

【切り方】

  • 片側の前ヅルを突っ込み切りで決める
  • そこからチェーンソーの先端を軸として回しながら追い口を切っていく

【特徴】

  • クサビを打つ選択肢(場所と枚数)が多い
  • 追い口はゲタ(左右で段違い)にならないので、クサビの障害ができない
  • なのでクサビを最大限使える切り方。大径木の起こし木(重心とは逆に倒す)にかなり有効

下向き受け口「フンボルトノッチ」

受け口を下向きにつくる伐倒方法。

【切り方】

  • 受け口の斜め切りを上からでなく、下から斜めに切り上げてつくる。

【特徴】

  • 受け口が閉じてツルが破断すると、幹が地面にずり落ちて、一時的に倒れる勢いが弱まる(木の衝撃保護)。
  • 倒れたときの根元の跳ね上がりも起きにくい。
  • とれる材積をわずかに多くできる(受け口の木っ端分)

↓フンボルトノッチの参考動画

より強力な制動をかける「ちょんまげ切り」

追い口の断面にゲタを履かせる(段差をつける)切り方。

断面がちょんまげに見えます。海外ではダガーカットと呼ばれるそうです。

【切り方】

  • 受け口は通常どおりつくる。
  • 受け口側から、受け口下切りよりも下を突っ込み切りで後ろまで貫通させる(ガイドバー幅)。
  • 追い口側にまわり、突っ込み切りの部分にクサビを打ち込む。
  • ちょんまげとなる部分を残すように、追い口を「分割切り」する。

【特徴】

  • ちょんまげの縦繊維の剥離抵抗が追加され、倒れていくスピードをより落とせる。
  • ちょんまげの突起がガイドになり、倒れていくときの左右のブレに抵抗でき、偏心木の伐倒にも有効。
  • ちょんまげの縦のラインも突っ込み切りで切り離しておく切り方もあり。
  • 北欧式では「ワーキングベンチ」というものを作成するときに、同じような切り方をする。

↓参考動画

伐倒時にとても危険な「バーバーチェア」のリスク

いろいろ挙げましたが、どの切り方もすべて「受け口」と「追い口」をしっかり正確につくるのが原則になります。

もし上手くつくれていなかったりデタラメに切ってしまうと、伐倒方向のずれに加えて「バーバーチェア」になる可能性があります。

バーバーチェアとは、倒れていくときに木が縦に裂け上がる現象。

裂けたあとに頭上に降ってくる可能性大なので、めっちゃくちゃ危険です。

  • 裂けやすい樹種である
  • かなりの偏心木である
  • 受け口が小さすぎる
  • 追い口が浅い
  • 追い口が会合線より低い

など、原因は状況によりさまざまなようです。

経験したことはありませんが、注意するポイントは常に意識しておこうと動画を見て思いました。

・・・

以上、自分がやったことない伐倒方法もありますが、断片的な情報をもとに整理してみました。

(まちがってたりしたら記事のコメント欄で教えてください)

ほか、「三つ紐切り」などの伐倒技術もまた追記していきます。

おしまい。

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