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誰でもできるワラーチのつくり方と、タラウマラ族をめぐる1つの物語を綴った本について

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ワラーチをつくりました。つくるのは2足目、4年ぶりくらい。

1足目がかなりすり減ったり穴が開いたりしたのと、先日買った畳縁(たたみべり)を使ったら面白いだろう!ということでつくってみました。

つくり方や材料はおそらくもっともスタンダードなものです(ネットで調べたらだいたい書いてるやつ)。

「ワラーチのつくり方」と「そもそもワラーチって何?」ということを書きます。

 

ワラーチの材料

すべての材料はアマゾンをポチれば速攻でそろいます。

 

ビブラムシート(靴底の素材として)

イノアック CR ペレマット(足裏のクッション素材として)

シューグー(↑2つをくっつける接着剤)

ヒモ

今回は畳縁を使ってみましたが、ワラーチ用のヒモは丈夫な「真田紐」がよく使われています。

僕も初めてつくったときは真田紐を使いましたが、何回か消耗して切れたあと、100均の手芸コーナーに売ってる適当なヒモを使ってもぜんぜんOKでした。

ヒモによって足へのフィット感もさまざまなので、平ヒモ、丸ヒモ、化学繊維、木綿、麻などいろいろ買って試してみるのがおすすめです。

長さは片足1.5m、合計3mあれば十分です。

 

穴あけポンチ

ヒモを通す穴あけ用の工具。穴の経は5mm。

ハンマー

穴あけポンチを叩くために必要。ハンマーじゃなくても衝撃をピンポイントで加えられるならなんでもいいです。

あとは下記を適当に用意します。

  • A4以上の紙
  • ペン(あれば白色)
  • ポンチを打ち込むときの台
  • ハサミ

 

ワラーチの作成手順(靴底の作成)

つくるのは簡単、1時間もあればできます。

それプラス

  • 接着剤の乾燥時間(24時間)
  • ヒモの結び方になれるまでの時間

が加わる感じです。

 

①足型をとる

適当なA4用紙に裸足の足をのせ、足型をペンでなぞって切り取ります。

きっちり正確にかたどる必要はなくて、ざっくり輪郭がわかればいいです。

※1 左右で足の大きさは若干違ってきます。完全に左右対称でつくりたいなら、大きい方の足型を反転させて使えば左右対称にできます。

※2 完璧に足にフィットさせたいならもっと正確な輪郭を形どるべきですが、少し大きめにつくっても後から修正できるので、今回は若干輪郭に余裕を持たせてつくりました。

 

②クッション材をカット

型紙を「イノアック CR ペレマット」に合わせてペンで型取り、ハサミでカットします。

 

③ビブラムシートをカット

先程カットしたクッション材をビブラムシートに合わせ、これもペンで型取りハサミでカットします。

 

④クッション材とビブラムシートを接着する

カットした2枚をシューグー(接着剤)でくっつけます。

シューグーを全面に塗布して貼り合わせます。

 

貼り合わせたら、適当な重しを乗っけて24時間乾燥させます。

※ちなみにつくってから気づきましたが、

・クッション材とビブラムシートを両方カットして接着する

のでなく、

・クッション材だけカットしてそのままのビブラムシートに接着し、乾いてからカットする。

のほうがきれいにカットできると思います。

 

⑤ヒモをとおす穴をあける

ヒモをとおす3点に穴あけポンチで穴を開けるため、まずペンで印をつけます。

※足の両サイドの穴はあまり端っこに開けると、穴が広がったときに破れてしまう可能性があるので、少し内側気味に。

 

・鼻緒(親指、人差し指の間の付け根部分)

・内側(土踏まず側)

前後の位置としては、土踏まずの頂点部分。

・外側

くるぶし近くを見ると、いちばん窪んでいる部分が1箇所あるのでそこ。

 

3点に印を付けたらポンチとハンマーで穴を開けます。

下に木の板など敷いておかないと貫通して床を傷つけるので注意。

↓3つの穴を開けました。

ここまでくればほぼ完成。あとはヒモを結ぶだけです。

 

ワラーチのヒモの結び方

前述のとおり、今回はヒモとして畳縁を使いました。

※畳縁の素材は化学繊維、柄は小紋、長さは1.5m。幅が約8cmと太すぎたので、半分に切ってさらに折りたたんで細くしました。

※以下、説明のため下記名称を使います。

  • 鼻緒の穴 = A
  • 外側の穴 = B
  • 内側の穴 = C

① A(鼻緒の穴)に通して結ぶ

まずAに表から通して、裏側で結び目をつくって抜けないようにします。

この結び目は走っていると当然、地面に接触するのでいずれ切れます。切れたら結び直せばいいだけです。

ヒモの素材にもよりますが、僕の感覚だと100〜150kmくらい走ると切れたような気がします。

ここが地面に接触しないようにつくるやり方もあるみたいです(調べてみてください)。

②B(外側の穴)に表から通す

③輪っかに通し、C(内側の穴)へ通す

A〜B間にできた輪っかにヒモを通します。そしてCに表から通します。

④足を通して長さ調整後、輪っかに通す

実際に足を通して、ピッタリ足にフィットするくらいに長さを調整します。その後、Cからでたヒモ先端を、B〜C間にできた輪っかに通して前側にもっていきます(矢印の方向)。

⑤A〜B間の輪っかに、下から上に通す

※このクロスした場所でヒモを結んで完成させることもできますが、多く巻いたほうがよりしっかり固定できます。1.5mのヒモだとまだかなりヒモが余っているので、ここからくるぶしを1周させます。

 

⑥先端をC側に回しB〜C間の輪っかに通す

写真のとおり、下から上に通します。

⑦1周巻くように通し、先端をかかと側からBへ

写真のように、クロスしている2本を巻くようにしてかかと側からBへ回します。

⑧A〜B間の輪っかの下を通す

⑨1周巻くように通し、先端をA方向へ

先ほどと同じで、クロスしている②本を巻く形で先端を通し、A方向へ持っていきます。

 

⑩クロスした場所で結んで完成

ここでどうにかヒモを殺せば(=結んで固定させれば)完成です。

我流ですが、ぼくは簡単に引き解け結びをしています。

↓まず下に通します

↓つぎに上から下の順で通し、輪っかをつくります。

↓先端のあまりを輪っかにして、前につくった輪っかへ通します。

↓あとは最初の輪っかをしっかり掴んで固定し、中に入れた輪っかを鼻緒側へ引っ張って絞ります。

これで完成!もう片方も同じ要領で結べます。

若干結び目が長くても、鼻緒が切れたときのことを踏まえて余裕があるほうが良いです。

 

ワラーチで走るときの注意点

僕が思うに2つあります。

ワラーチは使ってみて調整すればいい

ヒモの結び方はけっこう難しくて、しっかり結べたと思っても走っていると緩んだり解けたりします。

そもそも取り付けたヒモが細すぎて痛いかもしれません。

穴の位置がしっくりこないかもしれません。

ゴム底の土台も形がいまいちかもしれません。

でも、そのへんは使いながらいくらでも調整できます。

いろんなヒモを試したり、形を削ったり、(ちょっと不細工になるけど)穴を開け直したりして、徐々に自分のワラーチに仕上げていく感じです。

 

「かかと着地」でしか走ったことない人はぜったい無理しない

「ワラーチで走る」というのは、必然的にミッドフット(足裏の真ん中で着地)、またはフォアフット(つま先で着地)の走り方になります。

なぜなら、かかとにクッションがないから。裸足で走ることを思い浮かべれば簡単に想像できます。

かかと着地しか経験ない人がワラーチで走ると、普段使わない筋肉に不可がかかります。

僕自身、初めてワラーチで8km走っただけで、両足のふくらはぎが強烈な筋肉痛になりました(まともに歩けないくらい)。

これも少しずつ慣らしていくしかありません。

 

そもそもワラーチとは何か?

↓長年使ってるランニングシューズとワラーチ

少し調べると、昔々(といってもたった100年くらい前)の日本でも多くの人が裸足でした。けれど1901年に警視庁が跣足(せんそく)禁止令を出して、「裸足ダメぜったい」ということになったみたいです。

マラソンをするには「ランニングシューズが必要」という固定観念があります。僕もご多分に漏れずその一人でした。

けれど今では20km程度はワラーチでも余裕で走れるようになりました(それ以上は試してないだけ)。

・・・

ワラーチで走るのは裸足に近い、つまり人間の持つ本来的な走り方ともいえます。

それを体現しているのがタラウマラ族の存在。

今でこそ有名になりましたが、ワラーチはタラウマラ族が履いているサンダルです。ウルトラマラソン級の距離(80km以上)をタラウマラ族はこのワラーチで走ります。

メキシコのコッパーキャニオンという僻地に暮らす彼らは、自らのことを「ララムリ」(”Fleet of Foot” people=俊足の民)と呼びます。

走ることがアイデンティティの民族です。

 

『Born to Run』とタラウマラ族

彼らが日本でも有名になったきっかけは『Born to Run 走るために生まれた』という1冊の本です。

ランナーでもある著者クリストファー・マクドゥーガルが抱える1つの問い

「なぜ私の足は痛むのか?」

から物語は始まります。

「走る」という行為への疑問から端を発し、カバーヨ・ブランコ(白い馬)という謎の人物を追ってタラウマラ族の地にたどり着き、ウルトラマラソンに取り憑かれたアメリカのクレイジーなランナーたちを巻き込んで、最終的に、

アメリカ最強のウルトラランナー VS タラウマラ族

というレース「コッパーキャニオンウルトラマラソン」がタラウマラ族の地で実現されます。

そこには現代のバイオメカニクス的な常識(良いシューズを履く)へのアンチテーゼも相まって、めちゃくちゃスリリングな物語が展開していきます。

400ページ超の長い本ですが、面白すぎる本なので少しでも興味あるならぜひ読んでください。

 

※タラウマラ族については下記のWIRED記事にも詳しいです。

参照:マス・ロコス(狂人ども)が集う、地の果てのトレイルランニングレース

 

最後に、走ることについて

『Born to Run』を読んだ人であれば、下記のセリフに胸を打たれたと思います。

コッパーキャニオンウルトラマラソン開催後、ノース・フェイスがスポンサーとして打診してきたときの、主催者カバーヨ・ブランコの断り文句です。

「私が人に望むのはひとつ、こっちに来て走り、パーティをし、踊って食べて、われわれと仲良くやることだけだ。

走ることは人にものを買わせるのが目的じゃない。走ることは自由でなきゃいけないのさ」

(単行本p407)

 

ワラーチが商品化されて販売されていることとか(タラウマラ族は廃タイヤでつくる)、ランニングがパッケージ化されて消費されている様子とか、そもそも自分がアフィリエイトリンク付きでワラーチ作成記事を書くこととか…。

複雑な感じもするんですが、でもワラーチを自作するのは良いことだと思います。

ワラーチをつくって走ると「そもそも走るってどういうこと?」みたいな根源的な問いと、純粋な走る楽しみが自分の中に生まれる、と感じます。少なくとも僕は。

走るのに高価なシューズもいらないし、速乾性のあるアンダーウェアもいらないし、筋肉をサポートするタイツもいらない。

もちろんそれらあれば遠くまで走れる可能性は高くなるから、必要になったら買えばいい。

けど、まずは使い古したシューズ(もしくは自作のワラーチ)と、適当なTシャツと、適当な短パンと、適当な帽子があればそれでいいんじゃないかな。

 

 

おしまい!

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